Column 技術・業界コラム
2026.08.29
スチームトラップの更新を検討する際、「従来の可動式を継続して採用するべきか、それとも可動部を持たない非可動式を選ぶべきか」と迷う方は多いのではないでしょうか。可動式と非可動式では、ドレンを排出する仕組みだけでなく、負荷変動への対応力やメンテナンス性、故障リスク、運用コストなどにも違いがあります。
そこで、この記事では、可動式と非可動式スチームトラップの構造や特徴の違いや、それぞれのメリット・デメリット、選定ポイントを解説します。
可動式トラップと、非可動式トラップは、いずれも蒸気の流出を抑えながら、蒸気使用設備や配管内に発生したドレンや空気などを排出するための機器です。ただ、可動式と非可動式では、ドレンを排出する仕組みやメンテナンス性、負荷変動への対応力が異なります。
まずは、それぞれの主な違いについて解説していきます。
可動式トラップは、方式によって液位・温度・流体力学的作用などを利用して弁を作動させるのが特徴です。フロート式については、ドレンの流入量に応じた排出が可能です。
非可動式のオリフィス式は、固定された孔から連続的にドレンを排出します。排出能力はオリフィス径や圧力差に左右されるため、想定するドレン量に合わせた適切な選定が必要です。
起動時と定常運転時でドレン量が大きく変わる設備では、負荷変動への対応力が重要です。可動式は運転状態に応じて弁が作動するため、ドレン量の増減に対応しやすいといった特徴があります。
非可動式はオリフィス径が固定されています。そのため、急激な負荷変動への対応には注意が必要です。比較的、負荷が安定した設備のほうが導入を検討しやすいといえるでしょう。
可動式は、生蒸気の通過を抑えながらドレンを排出できます。しかし、摩耗していたり、異物を噛み込んでいたりすると、閉止不良が生じてしまうかもしれません。結果的に、生蒸気漏れが発生することがあります。
非可動式の場合は弁の開閉不良がありませんが、オリフィス径が運転条件に対して大きすぎると蒸気が通過する可能性があります。
可動式は、弁体やフロート、ディスクなどの可動部があります。そのため、長期間の使用による摩耗や汚れ、スケールの付着によって作動不良が発生する可能性があるのです。
一方、非可動式は可動部がなくシンプルな構造となっています。機械的な摩耗や作動不良のリスクを抑えやすいといえるでしょう。ただし、オリフィスの詰まりなどは起こり得るため、使用環境を踏まえた管理が必要です。
可動式では、正常に弁が開閉しているかを定期的に点検し、必要に応じて部品交換や清掃を行います。設置台数が多い工場では、点検や交換にかかる工数も増える傾向にあります。
非可動式は可動部がないため、部品の摩耗に伴うメンテナンスを減らしやすい点がメリットです。とはいえ、異物によるオリフィスの閉塞を防ぐため、ストレーナーの点検や清掃などは必要です。
トラップの更新では、本体価格だけでなく、設置後の点検・修理・交換まで含めたコストで比較しなければなりません。可動式は定期的な点検や部品交換が必要になる場合があり、長期的には保全コストが発生します。
非可動式は構造がシンプルなため、維持・管理の負担を抑えられる可能性があります。ただし、設備条件に適さない方式を採用すると損失が増えるため、初期費用だけで判断しないことも重要です。
可動式は種類が豊富で、蒸気主管や熱交換器、各種プロセス設備など、幅広い用途に合わせて選定できます。特にドレン量や圧力が変動する設備では、運転状態に追従できる可動式が適しています。
非可動式はドレン発生量や圧力などの条件が比較的安定した設備で採用しやすい方式です。ただ、更新時には設備ごとの運転条件を確認し、一律に同じ方式へ変更しないことが重要です。
可動式トラップを導入するにあたり、知っておきたいのがメリット・デメリットです。
自社の設置環境と照らし合わせながら、以下のメリット・デメリットを確認していきましょう。
可動式トラップの大きなメリットは、ドレン量や運転状態の変化に応じて弁が作動する点です。例えば、設備の立ち上げ時には大量のドレンが発生し、定常運転に入るとドレン量が減少することがあります。
可動式であれば、このような負荷の変化に追従しながらドレンを排出できます。また、用途に応じてフロート式やバケット式、ディスク式など複数の方式から選べるため、蒸気主管、熱交換器、プロセス設備など幅広い設備に対応が可能です。
適切に選定・管理されていれば、生蒸気の流出を抑えながら必要なドレンを排出できるため、運転条件が変化しやすい設備では採用しやすい方式でしょう。
可動式トラップのデメリットは、内部に弁体やフロート、ディスクなどの可動部を持つため、長期間の使用によって摩耗や作動不良が発生する可能性があることです。配管内の異物やスケールが弁座に噛み込むと、弁が正常に閉まらず蒸気漏れにつながる場合もあります。
反対に、弁が開かなくなればドレンが滞留し、設備の加熱性能低下やウォーターハンマーの原因になることもあります。そのため、定期的な作動確認や清掃、部品交換が必要です。
トラップの設置台数が多い工場では、点検や交換にかかる人員・時間も考慮し、ライフサイクルコストで評価することが求められます。
非可動式(オリフィス式)のトラップを導入する場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
自社における現場のニーズにマッチするかを確認するためにも、以下を把握しておきましょう。
オリフィス式のメリットは、可動部を持たないシンプルな構造です。弁体やリンク機構などがないため、摩耗や固着による機械的な作動不良を抑えやすく、定期的な部品交換などの保全負担を軽減しやすいといえます。
また、可動式のように弁の開閉動作を必要とせず、選定条件に合った環境ではドレンを連続的に排出できます。設備内に多数のスチームトラップが設置されている場合、メンテナンス工数の削減は大きなメリットになるでしょう。
オリフィス式のデメリットは、運転中に排出口の大きさを変えられないことです。定常時のドレン量に合わせてオリフィス径を小さくすると、設備の立ち上げ時などに大量のドレンが発生した際、排出が追いつかない可能性があります。
逆に、大きな負荷を想定して孔径を大きくすると、ドレン量が少ないときに生蒸気が通過し、エネルギーロスにつながるおそれがあります。また、固定オリフィスは孔が小さいため、空気の排出にも時間がかかる可能性もあるでしょう。
そのため、負荷変動が大きい設備へ一律に導入するのではなく、起動時・定常時のドレン量や圧力条件を確認したうえで適用を判断することが重要です。
可動式トラップの摩耗による蒸気漏れや、点検・交換にかかる保全負担が課題になっている場合は、非可動式のスチームトラップも選択肢の一つです。
協和機工では、主管・トレース管向けの長期耐久型スチームトラップ「スチームセーバー」を取り扱っています。既存トラップの更新や、蒸気ロス・メンテナンス負荷の見直しをご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。
スチームトラップを更新する場合、可動式・非可動式のどちらを選べばよいのかは悩みやすい部分です。それぞれのメリット・デメリットを把握していても、実際の設置環境や導入設備などによっては、選定が難しいといえます。
ここからは、可動式・非可動式のどちらを選ぶべきかで迷っている方へ向けて、具体的な選定ポイントを解説します。
起動時と定常運転時でドレン量が大きく変わる設備では、可動式トラップが有力な選択肢です。可動式は、フロートや弁体などが運転状態に応じて作動するため、ドレン量の増減に合わせて排出量を変化させることが可能です。
特に、熱交換器や蒸気加熱設備などでは、立ち上げ時に大量のドレンが発生し、安定運転に入ると負荷が低下するケースがあります。このような設備では、固定された孔から排出するオリフィス式では能力が不足する可能性があります。
更新時には最大ドレン量だけでなく、起動から定常運転までの負荷変動幅を確認しましょう。
ドレン発生量や蒸気圧力が大きく変化しない設備では、非可動式のオリフィス式を検討できます。オリフィス式は、あらかじめ設定した孔径によって一定条件下でドレンを排出するため、運転条件が安定していればシンプルな構造のメリットを活かしやすくなります。
また、可動部を持たないため、摩耗や固着などによる機械的な作動不良を抑えられる点も特徴です。ただし、実際のドレン量や蒸気圧力、差圧、背圧が選定時の想定から大きく異なると、ドレンの滞留や蒸気の流出につながる可能性があります。採用前に設備ごとの運転データを確認し、適切なオリフィス径を選定することが必要です。
保全作業の削減を重視する場合は、可動部を持たないオリフィス式が選択肢の一つです。可動式トラップは、弁体やフロート、ディスクなどの摩耗や汚れによる作動不良を防ぐため、定期的な点検や必要に応じた部品交換が求められます。
設置台数が多い工場では、一台ごとの作業は小さくても全体では大きな保全負担になることがあります。ただ、オリフィス式では可動部に関する点検・交換作業を減らせますが、完全にメンテナンスが不要になるわけでは無い点に注意が必要です。
スチームトラップを選定する際は、本体価格や交換工事費といった初期費用だけで判断せず、使用期間全体で発生するライフサイクルコストを比較しましょう。
可動式では、定期点検や部品交換、本体交換などの保全費用が発生する可能性があります。一方、オリフィス式では可動部に起因する保全費用を抑えられる可能性がありますが、設備条件に適さない選定をすると、ドレン滞留による生産性低下や蒸気ロスが発生するおそれがあります。
導入価格だけでなく、点検・修理費、交換頻度、蒸気損失、設備停止による影響まで含め、長期的な総コストで比較することが大切です。
非可動式のスチームトラップを検討している場合は、「スチームセーバー」がおすすめです。スチームセーバーは、ステンレス鋼球に0.8mmの孔を設けた柱状孔式のスチームトラップで、弁体などの可動部を持たないシンプルな構造を採用しています。
摩耗や劣化による蒸気漏れが発生しにくく、定期的な分解清掃も不要なため、蒸気ロスの削減やメンテナンス工数の軽減が期待できます。
既設の可動式トラップで経年劣化による蒸気漏れや点検負担が課題になっている場合は、更新時の選択肢として検討しやすいでしょう。
今回は、可動式と非可動式のトラップの違いや選定方法などについてご紹介しました。
スチームトラップの更新では、可動式と非可動式のどちらが優れているかではなく、設備の運転条件に合っているかで判断することが重要です。
とはいえ、いざスチームトラップを選ぶことになった際、「結局どちらが自社にとってメリットが大きいのか」は悩みやすいポイントです。
既存スチームトラップの更新をご検討の際は、可動式を継続するか、非可動式を選ぶかだけでなく、運転条件・ドレン量・メンテナンス負荷・ライフサイクルコストを踏まえて検討することが重要です。
主管・トレース管など、負荷が比較的安定している設備で、蒸気ロスや保全負担の軽減を重視する場合は、長期耐久型トラップ「スチームセーバー」も選択肢の一つです。
まずはスチームセーバーの特徴をご確認いただき、自社設備への適用可能性をご検討ください。
蒸気ロス削減・省エネ対策・メンテナンス負荷軽減をサポートします。
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