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スチームトラップがないとどうなる?蒸気配管で起きる重大トラブル

2026.05.08

蒸気管理

「スチームトラップの必要性がよく分からない」「仮にスチームトラップを使用しなかったらどうなるの?」など、疑問に感じる方は少なくありません。特に、蒸気設備に関わるようになって間もない方にとっては、必要性に疑問を抱きやすい部分といえます。

とはいえ、スチームトラップは蒸気設備において重要な役割があるため、正しく理解したうえで使用することが大切です。

そこで、この記事では、スチームトラップがないことで発生する主なトラブルや、設備における安全性への影響、適切な設置箇所などについて解説します。

スチームトラップがない蒸気配管はどうなるのか

仮にスチームトラップを使用せずに蒸気設備を使用した場合、配管はどうなるのでしょうか。

まずは、想定される配管内の状態について解説します。

ドレンが配管内に溜まりやすくなる

スチームトラップがない蒸気配管は、内部に「ドレン」と呼ばれる水が溜まりやすくなってしまいます。蒸気は配管内を流れる間に、周囲に熱を奪われ、一部が水に戻ります。この水がドレンと呼ばれるものです。

スチームトラップがないと、発生したドレンを外へ排出できないため、配管の低い部分や曲がっている部分、末端部などに溜まりやすくなります。ドレンが溜まると、蒸気の通り道が狭くなり、配管内の流れが悪くなってしまうことがあるため注意が必要です。

蒸気の流れが悪くなり、加熱効率が低下する

スチームトラップがないことで配管内にドレンが残り、蒸気がスムーズに流れにくくなるといった問題が生じることがあります。蒸気は本来、熱を運ぶための役割がありますが、それをドレンが邪魔してしまい、必要な場所まで十分な量の蒸気が届きにくくなってしまうのです。

結果的に、熱交換器や加熱装置で、設定温度に到達するまで時間がかかったり、加熱能力が不安定になったりします。蒸気の供給量を増やして対応しようとしても、根本的な原因であるドレンの滞留が解消されないと、エネルギーの無駄が増えるだけです。つまり、スチームトラップがない状態は、設備全体の効率低下につながるといえます。

配管内の温度ムラが大きくなる

ドレンが配管内に溜まると、蒸気が直接触れる部分と、ドレンが滞留している部分で温度差が生じやすくなります。蒸気の温度は高いものの、ドレンが溜まった部分では温度が低下してしまうことがあり、配管や機器の温度が均一になりにくくなります。

温度ムラが大きくなると、温度管理が難しくなってしまう恐れがあります。特に、一定温度での加熱が求められる工程では、製品不良や処理時間の延長につながることもあるでしょう。また、配管自体にも局所的な加熱による負担が生じやすくなり、長期的に見ると劣化や損傷のリスクを高めます。

スチームトラップなしで生じるトラブルとは

スチームトラップを使用しない場合、機器や装置にさまざまなトラブルが生じてしまう恐れがあります。

具体的なトラブル例としては、以下が挙げられます。

ウォーターハンマーによって配管・バルブが破損する

スチームトラップなしで蒸気配管を使用すると、ウォーターハンマーが発生し、配管やバルブなどが破損してしまう可能性があります。配管内に溜まったドレンが高速の蒸気に押されて勢いよく移動すると、配管の曲がっている部分やバルブ、継手などに衝突し、大きな衝撃となるからです。

ウォーターハンマーは、配管の異音や振動だけでなく、バルブの損傷、フランジ部の漏れ、配管支持部のゆるみなどを引き起こす原因となります。とくに、衝撃が大きい場合は、配管そのものが破損する危険もあることを覚えておきましょう。

ドレン滞留で腐食したり配管寿命が低下したりする

ドレンが配管内に長くとどまっていると、配管内部の腐食が進みやすくなります。腐食の初期段階では外側からは異常を確認しにくい場合もありますが、内部では徐々に劣化が進行していきます。

そのまま使用を続けると、ピンホール漏れや蒸気漏れが生じたり、最終的には配管交換が必要になったりすることもあるでしょう。配管寿命を保つためにも、スチームトラップを使用し、ドレンを適切に排出することが重要です。

熱交換器や装置の性能が低下する

熱交換器や加熱装置では、蒸気の熱を効率よく利用することが重要です。しかし、スチームトラップがなくドレンが排出されない状態では、伝熱面にドレンが溜まり、蒸気が伝わりにくくなってしまいます。これにより、加熱能力が低下する恐れがあるのです。

設定温度まで到達するのに時間がかかったり、温度が安定しなかったりするため、工程全体の効率にも影響します。食品、化学、医薬品など、温度管理が重要な現場では、品質のばらつきや処理時間の延長につながる可能性があるでしょう。

蒸気量を増やして一時的に対応しても、ドレンが残っている限り根本的な改善にはなりません。装置本来の性能を維持するには、スチームトラップによる適切なドレン排出が必要です。

蒸気漏れ・設備停止につながる故障リスクが上がる

ドレンの滞留やウォーターハンマー、腐食が続くと、配管やバルブ、継手、熱交換器などの各部に負担がかかっていきます。放置していると、シール部の劣化やフランジ部からの漏れ、バルブの作動不良などが起こりやすくなり、さらに問題が深刻化してしまう恐れもあります。

漏れや破損の修理には設備を停止しなければならない場合があり、生産ラインの停止やメンテナンス費用の増加にも影響が及ぶでしょう。

スチームトラップなしの安全面におけるリスク

スチームトラップなしで蒸気配管を使用していると、安全性に問題が生じるケースがあります。具体的に、どのようなリスクがあるのか、解説します。

高温ドレンの噴出による火傷事故

蒸気配管内に溜まったドレンは、高温になっている場合があります。配管やバルブ、継手の部分に不具合が起きると、高温になったドレンが勢いよく噴き出すことがあるのです。

高温ドレンは見た目には水でも、実際には火傷を引き起こすほど高温状態になっています。万が一、作業担当者が近くにいる状態で噴出した場合、皮膚に触れて重度の火傷につながる危険があるでしょう。また、噴出したドレンが床に広がることで、滑りや転倒の原因になり、さらなる事故を招くことも考えられます。

配管破損による二次災害

スチームトラップがない配管では、ドレン滞留やウォーターハンマーによって配管に大きな衝撃が加わることがあります。こうした負荷が繰り返されると、配管やバルブ、フランジなどが損傷し、破損につながるリスクがあるでしょう。

破損箇所の近くで作業している人がいれば、火傷や飛散物によるけがの危険もあります。つまり、配管の破損はただの故障ではなく、人的被害につながる二次災害の原因にもなるのです。

圧力変動による設備トラブル

ドレンが配管内に残ると、蒸気の流れが妨げられ、配管内の圧力に問題が生じることがあります。実際、蒸気がスムーズに流れない状態になると、必要な場所に適切な圧力で蒸気を供給しにくくなります。

圧力が変化すると、バルブや制御機器の動作が不安定になったり、加熱装置の温度制御が乱れたりします。その結果、設備の異常停止や品質不良、運転条件の再調整が必要になるかもしれません。

蒸気配管では、圧力が安定していることが安全運転において重要です。設備トラブルを未然に防ぐためにも、スチームトラップを使用し、適切にドレンを排出することが重要といえます。

スチームトラップを設置すべき場所

スチームトラップを使用するにあたり、「そもそもどこに設置すればいいのか」は疑問に感じやすいものです。

ここからは、スチームトラップを設置すべき場所として、主な3つの箇所を詳しく解説します。

蒸気主管の低い箇所・末端の部分

スチームトラップを設置すべき場所として、まず挙げられるのが蒸気主管の低い部分や、末端部分です。蒸気主管では、蒸気が配管を流れる間に放熱してドレンが発生します。発生したドレンは配管の低い部分に集まりやすいため、スチームトラップを設置して排出できるようにしましょう。

また、蒸気主管の末端の部分もドレンが溜まりやすい場所です。末端の部分でドレンを排出できないと、配管内に水が残り、蒸気の流れを妨げる原因になるため注意してください。

熱交換器や加熱装置の出口側

熱交換器や加熱装置では、蒸気が熱を放出して凝縮するため、多くのドレンが発生します。そのため、これらの機器の出口側にはスチームトラップを設置し、発生したドレンを速やかに排出する必要があります。

ドレンが機器内に残ると、伝熱面が水で覆われ、蒸気の熱が十分に伝わらなくなります。その結果、加熱能力が低下したり、温度制御が不安定になったりします。装置本来の性能を維持するためにも、出口側でのドレン排出は重要です。

配管の立ち上がり前やドレンが溜まりやすい箇所

配管が上向きに立ち上がる手前では、ドレンが上方向へ流れにくく、手前側に滞留しやすくなります。この部分にドレンが溜まると、蒸気の流れに押されて水のかたまりが移動し、ウォーターハンマーを引き起こす可能性があります。

また、配管の曲がり部、分岐部、勾配が不十分な箇所などもドレンが溜まりやすい場所です。こうした箇所には、スチームトラップを適切に設け、配管内に水が残らないようにしましょう。

まとめ

今回はスチームトラップを設置しなかった場合のリスクや安全性の問題、必要な箇所などについて解説しました。スチームトラップがない蒸気配管では、機器の故障リスクだけではなく、近くで作業をする担当者の安全面にも問題が生じます。

そのうえ、スチームトラップは「設置すれば良い」というわけではなく、適切な箇所・必要な箇所に正しく設置しなければなりません。

まずは、今回ご紹介した内容を参考にしながら、現場の環境と照らし合わせ、今一度スチームトラップの必要性や必要な箇所などについて考えてみてはいかがでしょうか。

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