モミ取り(ボルト破断後の復旧工法)


どれだけ力を加えても、ボルトが緩まないというケースは時に発生します。これは、運用の仕方が悪いのではなく、様々な力・熱源・気候などの条件下にあるプラント機械の場合は致し方ないことです。

そして、そのような場合はボルトを折るという選択肢も出てきます。折ってでも開放しなければ、後の工程が滞ってしまいます。では、折った後のボルトはどうするのでしょうか?そのままでは復旧ができません。

また、意図せずして折れてしまうケースもあります。したがって、工場定修をしていく中でボルトが折れるリスクは常に検討すべきであり、そのリスクヘッジ技術こそ、そのボルトの復旧にあります。

折ったボルトを除去し、ネジ穴を戻す作業が「モミ取り」というものになります。

ボルトのモミ取り

ボルトのモミ取りは以下の手順で実施します。モミ取りをすれば、ネジ穴は復旧し、新しいボルトを入れることができます。


①ボルトの切断

ボルトをねじ穴付近まで改めて切断し直します。

②穴あけ

ボルトの径よりも一回り小さいドリルを用いて、ボルトの中心部をそろえながら穴をあけていきます。穴あけ後は、ネジ穴の凸部との肉厚が薄くなるようにします。この時に、ネジ穴部分を傷つけてしまうと復旧ができなくなるので技術力を要する作業工程です。

③グラインダー加工

グラインダーでネジ穴部分を加工していきます。この加工段階で、残った部分がネジ穴内で分裂していきます。

④残肉部除去

その後に、ネジ穴内に残った旧ボルトの残部分を除去していきます。

⑤最終加工

最後にネジ穴に沿って最終研磨を行い、新たなボルトが入るように加工をしていきます。

上記の一連の作業が「モミ取り」と呼ばれるものです。加工工程からもご理解いただけるように、技術力を要する工程になります。

 

協和機工の熱交換器メンテの一つにある「モミ取り」


当社の熱交換器メンテナンスにおいては、可能な限りモミ取りを行わないように進めていきますが、時にはボルトを折ることが必要な場合もあります。その際は、当社協力会社と共に「モミ取り」作業を実施、原状復帰に向けた準備を進めていきます。

ボルトを折るというのは最終手段です。できる限り、そうならないように手を尽くしていく中で、当社の海外製工法は様々な選択肢を生んでくれます。

定期修理において、ゴールは無事に復旧し、安全に工場を稼働させることです。当社は様々な現場で培った技術・ノウハウを元に、最善のメンテナンス手法を提案します。

また、「モミ取り」業務単体でのご依頼も承ります。定修時にボルトを折る可能性がある場合は事前にお声がけいただけますと、スケジュール調整も柔軟にできます。ご相談はお気軽に。