コンプレッサーのエアー漏れの原因は?確認方法と対策方法を詳しく解説!
コンプレッサーは、工場内の設備をつなぐ動脈ともいえる存在です。
コンプレッサーが止まったり、末端配管にエアーが来なかったりすると、工場の設備が運転できず、塗装工場では、塗装自体ができません。このようなエアー漏れ箇所の特定や修理には、非常に労力や時間がかかることが通常です。
本記事では、コンプレッサーのエアー漏れについて、その原因から対策までを詳細に解説します。
目次
コンプレッサーのエアー漏れの主な原因は?
エアー漏れ箇所を、的確に確認したり修理したりする作業は難しいケースが少なくありません。
エアー漏れの原因としては、ホースやパイプの損傷、シールやガスケットの劣化に加えて、バルブの異常やタンクの腐食などが挙げられるでしょう。
ホースやパイプの損傷は、直接的にエアー漏れにつながる重要な問題です。ホースが損傷すれば、エアー漏れはかなりの量となり、コンプレッサーからの熱が伝わる箇所などでは、場合により容易に損傷することがあります。
ホースやパイプの損傷
ホースの経年劣化もあるため、定期的なホースの交換やメンテナンスを計画しておくことが大切です。またパイプについては、鉄製以外に樹脂製が使用されている場合もあるため、損傷に注意しなければなりません。
シールやガスケットの劣化
ホースの損傷のほかに意外と多いのが、シールやガスケットの劣化です。たとえば定期点検時に新たに巻いたシールでも、容易に傷がつき損傷していることがあります。またガスケットも比較的損傷を受けやすい箇所です。
バルブと金具やチューブなどのつなぎ部分でのエアー漏れが発生することが多いので、当該部分まわりでのシール劣化には特に注意しなければなりません。
バルブの異常
バルブの異常により、エアー漏れが起こる場合も少なくありません。バルブ自体の経年劣化の問題や、ホースの継ぎ手部分のシールの不具合などが多くなっています。
また問題なのは、このような箇所からのエアー漏れ量がかなり多く(エア漏れ検査サービスでの事例:50L/min)なっていることです。エアー漏れによる年間損失金額も多額になります。
タンクの腐食
エアタンクの腐食により、エアー漏れが起こる場合もあります。タンク腐食の場合は、エアー漏れ量もかなり多くなるため注意が必要です。
主に経年劣化でタンクの腐食が起こりますが、適切にメンテナンスされていない場合は、タンク金属部分でも酸化や腐食につながります。またタンクまわりの環境、特に湿度が高いなどの状況により、腐食が進むことも多いでしょう。
タンクの腐食を防ぐには、定期点検時に確実に当該箇所を点検してメンテナンスしておくことが大切です。
エアー漏れがコンプレッサーに及ぼす影響
工場内での動脈ともいえる存在が、コンプレッサーからのエアー供給系統です。エアー漏れがコンプレッサーに及ぼす影響としては、まず機械の寿命が短くなることが挙げられるでしょう。
また、工場設備の稼働に必要な、ライン圧の減少が起こります。さらに、圧縮空気の浪費によるエネルギーロスも生じる可能性があるでしょう。
機械の寿命
エアー漏れがあると、コンプレッサーは自動的にその負荷を高めることになります。このため、コンプレッサー自体がフル稼働やそれ以上の事態となり、コンプレッサーの寿命が短くなることがあるでしょう。
場合によっては、コンプレッサーの買い替えなども考慮しなければなりません。
またコンプレッサーだけではなく、別の部品や設備の故障が生じることもあり、工場棟全体へ悪影響が及びます。
ライン圧の減少
工場のエアー漏れが及ぼす影響として無視できないのが、ライン圧の減少です。コンプレッサーからのエアー圧が、漏れにより低下すれば、まず末端の機器への圧力低下につながります。このような場合、当該設備機器が正常に作動しない場合も多く、工場のかなりの部分の稼働停止といった事態を招くこともあるでしょう。
また塗装工場では、圧力が低下すると正常な稼働自体ができません。現在も、いろいろな工場で稼働停止が問題となっていますが、設備部門としては停止という事態は特に避ける必要があります。
圧縮空気の浪費
工場内のエアー漏れは、圧縮空気の浪費という問題に直結しています。実は、工場電力消費として大きな要因となるのが、コンプレッサーの消費電力です。産業分野の「消費電力の半分が工場部門」であり、さらに一般的な製造工場の電力消費の25〜30%がコンプレッサーとなっています(下図参照)。
このため、圧縮空気の浪費が、工場部門の脱炭素計画へ悪影響を及ぼすことにもなり、適切なエアー漏れ対策をとることが大切です。
エアー漏れの検出方法
工場内には、配管が複雑に配置されていることもあり、最終的なエア漏れ箇所の特定が欠かせません。エアー漏れ箇所に到達すれば、その原因を特定して修理することが可能です。そのため、エアー漏れの検出方法には工夫を要します。
耳で確認する
エアー漏れを検出する一番簡単な方法のひとつが、耳で確認することです。もちろん現場で騒音が多い場合は難しいですが、特有の「スー」といった音などが出ていることがわかる場合があります。
このような五感を使う方法は、いまどき原始的と思われるかもしれませんが、工場設備の管理では今でも一般的です。五感も重視しないと、設備の異常を早期に発見できないこともあるため、ぜひ取り入れてみましょう。
手をかざして圧力を感じる
五感を重視する検出法のひとつに、手をかざして圧力を感じるという方法もあります。
エアー漏れしている箇所は空気が出ていますが、微小なこともあり気づきにくいため、軍手や手袋などを外して素手で確認しましょう。
素手の場合は、エアー漏れの圧力を手の内側などで容易に感じることができます。
石鹸水の泡で確認する
また簡単な検出方法として、石鹸水の泡で確認することが挙げられるでしょう。エアー漏れと思われる箇所に、直接石鹼水を吹きかけます。漏れた空気により、泡が微小に動くため、発見することが可能です。
ただ、石鹸水が、配管系に入ってはいけない場合があります。このような場合は、あらかじめ当該箇所をマスキングテープでふさいでから、石鹸水を吹きかけるようにしましょう。
エアー漏れの検知器を利用する
確実にエアー漏れを検出する方法として、超音波カメラを搭載したハンディ型の機器を利用することもおすすめです。耳での確認方法を、超音波をカメラに置き換え可能です。
当該カメラは購入することもできますが、エアー漏れ検査のサービスで利用することもできます。
特有な超音波を検出するためには、まわりの環境から生じる超音波域ノイズをキャンセルしなければなりません。検知器を用いた検査サービス会社などのプロに依頼すると、効率的にエアー漏れを検出できます。
協和機工株式会社の「エア漏れ見える化サービス」では、超音波センサーカメラを使用して、エア漏れ音のみを画面に映し出すことが可能です。従来であれば足場が必要な高所の検査でも、カメラのズーム機能を使用し、簡単に検査ができます。詳細は「エア漏れ見える化.com」をご覧ください。
エア漏れ検査画面
エアー漏れの対策
コンプレッサーのエアー漏れを検出したら、次に有効な対策をとらなければなりません。
特に、エアー漏れを発見したときの初期対応は大切で、その出来不出来がコンプレッサーの寿命などにも大きく影響します。
さらに定期的なメンテナンスや、専門家など外部の意見を取り入れることも必要です。
エアー漏れを発見したときの初期対応
エアー漏れが早期に修理可能な場合は、その場で対処しましょう。漏れをそのままにしておくと、配管系でのエアーの損失がさらに積み上がることになります。
業種に関係なくエア漏れの多い箇所は、ホース継手、カプラ、減圧弁、ネジ、カップリングといったところです。
たとえば継手部分のシールが切れていることがありますが、シールをもう一度巻くことにより解決できます。修理可能な箇所は、その場ですぐ直すようにしましょう。
エアー漏れ箇所は、増し締めや単に締め直しにより、回復することも多く、エア漏れ箇所の点検が、電力消費の削減にもつながります。
定期的な点検とメンテナンス
エアー漏れの調査は、工場の定期点検やメンテナンス作業に組み込む場合もあります。末端設備が稼働していないときに限られますが、当該箇所の上流配管系をいったん切っておくことで対処が可能です。しかし、高所作業が必要な場合や上流配管系を切ることが難しい場合は、次回のメンテナンス計画に組み入れるようにしましょう。
このためには、工場棟の配置図に確実に当該のエアー漏れ箇所を書き込んでおくことも必要です。建設現場で活用が進んでいる電子的図面を使用することも有効でしょう。
専門家の助言を取り入れる
エア漏れ検査サービスの専門家を利用することもおすすめです。
なおエアー漏れは、診断と補修を繰り返し行うことで、エア漏れ量自体が徐々に少なくなるという特性(下図参照)があります。
このため「エア漏れ検査」を、工場の毎年の修繕・稼働計画に組み込めば、さらに効果的な電力消費削減が可能です。
まとめ
コンプレッサーのエアー漏れについて、その原因から対策までを詳細に解説しました。
エアー漏れは、工場内の設備へ直接的な影響を及ぼし、場合によっては設備の稼働停止を引き起こすこともあるでしょう。またエアー漏れ量はかなり多くなることがあり、工場自体の脱炭素計画にも影響します。
コンプレッサーからのエア漏れを防止し、効率的な工場の稼働を目指しましょう。
協和機工株式会社の「エア漏れ検査サービス」は、特殊なカメラを使用してエア漏れ音だけを画面に可視化します。行動稼働中でも検査ができ、高所の検査でも足場を組まずに実施できます。「エア漏れ見える化.com」では、エア漏れ検査サービスの内容や事例を紹介しています。ぜひご覧ください。