コンプレッサーオイルの交換時期は?最適な頻度と重要性を解説!
Contents
コンプレッサーオイルを定期的に交換していますか。また、ご使用のコンプレッサーオイルは機種や用途に合ったものでしょうか。
普段気にすることの少ないコンプレッサーオイルですが、部品の摩耗・故障を防いだり、異物混入を防止したり、圧力を安定化させたりするなど役割は重要です。
この記事では、そんなコンプレッサーオイルの交換時期の目安とその理由、オイルの種類などについて説明します。
コンプレッサーオイル交換時期の目安
コンプレッサーオイルの交換時期の目安は、一般的に1年に1〜2回です。
ただし、使用環境や使用時間、オイルの種類によっては交換頻度を早める必要があります。
使用環境
コンプレッサーオイルの交換頻度は、使用環境に大きく左右されます。特に高温・高湿度の環境ではオイルの劣化が早く、交換頻度が増える傾向が顕著です。
また、オイルに粉塵などが混入すると劣化が進むため、清潔な場所に設置しましょう。オイル以外にも圧縮機やフィルター、エレメントなど他の部品においても不具合が起こりにくくなるため、周囲を清掃するなど整備することが大切です。
使用時間
コンプレッサーオイルは運転開始後の1ヶ月、又は運転時間が200時間に達する前に初回交換が推奨されています。その後は6ヶ月~1年に1回程度は交換しましょう。
実際の交換推奨頻度はご使用のメーカーで機種・型式ごとに定められているのが実情です。
例えば、明治機械製作所製のコンプレッサーオイルの交換推奨頻度を見ると、レシプロコンプレッサーのオイル交換は6ヶ月又は運転時間が1,250時間に達する前までに、スクリューコンプレッサーでは1年又は運転時間が6,000時間に達する前までに行うことになっています。
参考:レシプロコンプレッサ:定期点検と整備項目
参考:スクリュコンプレッサ:定期点検と整備項目
オイルの種類
オイルの種類によっても交換頻度は変わります。販売価格が安く費用を抑えられるものの、頻繁に交換が必要なオイルや、耐久性があり、交換回数を減らせるオイルなど多種多様です。
4種類のオイルの主な特徴は、以下のとおりです。
- 鉱物油:安価で広く使用されているが、劣化しやすい
- 合成油:高耐久、高温耐性を持ち、鉱物油より劣化しにくい
- 半合成油:鉱物油と合成油の混合油。価格と耐久性は両方の中間程度
- ポリオールエステル(POE):合成油と同様に比較的交換頻度は少ない
コンプレッサーオイルの交換時期が重要な理由
コンプレッサーオイルは単なる潤滑油のため、多少交換しなくとも稼働に影響がなく問題ないと思う方もいるかもしれません。
そんな方に向けて、コンプレッサーオイルの役割と交換時期が大切な理由について説明します。
潤滑と摩擦の防止
コンプレッサーオイルの最大の役割は潤滑と摩擦防止です。
金属でできたコンプレッサーの摺動部分は、潤滑油がないと一気に損傷します。コンプレッサーオイルは金属部品間に潤滑油膜を形成し、摩擦を防ぐことで摩耗や破損、かじりつき等を防止することが可能です。
しかし、オイルが劣化・減少している場合、潤滑効果が低下します。そのため、オイルの汚れや量などを定期的に点検し、異常が確認された場合は放置せず原因を除去することが重要です。
圧力の安定性
次にご紹介するコンプレッサーオイルの役割は圧縮空気(エアー)漏れ防止と圧力の安定化です。
コンプレッサーで圧縮するとき、部品・パーツ間の隙間からエアーが漏れてしまうことがありますが、コンプレッサーオイルを使用することで、シール性が向上します。これにより、エアー漏れ量の低減と供給圧力の安定化が可能です。
オイルが部品間の隙間を埋めることで効率的な運転ができ、コンプレッサーの機器本来の性能を発揮することができます。
機械の寿命延長
一つ目の潤滑と摩耗防止による効果としてコンプレッサーの寿命延長があります。
定期的に対策(新品に入れ替える、不足分を注入する等)することで、回転部やスライド部など摺動部分の劣化を抑えられ、コンプレッサーの長寿命化が可能です。
汚れ以外にもオイル不足にも注意をし、定期的にオイルのレベルゲージで過不足なく正常値以内であることを確認しましょう。
機械内部温度の調整
コンプレッサーオイルは、機械内部の温度を調整してくれます。内部で発生した熱を冷却し、適正な温度範囲に保ち、コンプレッサーの安定性を高めることができるでしょう。
しかし、オイルが劣化すると熱伝導性が落ち、冷却機能が低下します。
この状態で運転を続けると、コンプレッサーの過熱が進み、最悪の場合、コンプレッサーが停止し、エアーシステムがダウンするなど工場全体のトラブルにつながりかねません(コンプレッサー本体の大規模な修理や機器の更新が必要になることもあります)。
定期的にオイル交換し、冷却機能を維持しましょう。
コンプレッサーオイルの種類
コンプレッサーオイルにはいくつかの種類があり、コンプレッサーのタイプや用途によって使い分けることが大切です。
コンプレッサーの性能を引き出し、安心して運転するために最適なオイルを選びましょう。
鉱物油
鉱物油は、石油を精製して作られるコンプレッサーオイルで、幅広い用途に対応しています。特にレシプロコンプレッサーでよく使用され、安価で汎用性が高いことがメリットです。
しかし、高温環境では耐性が不足するデメリットがあります。適切な使用環境を選ぶことが重要であり、使用条件に応じて、他のオイルと比較して選択することが必要です。
コストパフォーマンスの良さが魅力ですが、実際の使用条件を考慮する必要があります。
合成油
合成油は化学的に合成されたコンプレッサーオイルで、鉱物油よりも高い耐久性を持っています。このため、オイル交換の頻度を減らすことができ、交換労務量の削減などメンテナンスコストを抑えられるのがメリットです。
さらに高温環境でも安定しているため、過酷な使用条件においても適しています。長時間の運転や高温での使用が求められる場合に有効なコンプレッサーオイルです。
半合成油
半合成油は鉱物油と合成油を混合したコンプレッサーオイルで、両者の特性を兼ね備えた製品です。
半合成油は鉱物油のコストの低さと合成油の高耐久仕様を持ち合わせており、幅広い用途に対応できるメリットがあります。さまざまな環境で使用できるため、多くのニーズに応えることができる、バランスの取れたコンプレッサーオイルです。
個々の仕様は、その成分配合比率によるため、成分をよく確認する必要があります。
ポリオールエステル
ポリオールエステル(POE)は合成油の一種で、低温流動性に優れているため冷凍機やエアコンなどに多く使用されています。
POEは高温でも安定しているため、広い温度帯で使用可能です。さらに難燃性で安全性が高いことに加え、生分解性に優れているため環境への影響が少ないというメリットがあります。
しかし、水分と混ざりやすい性質があるため、使用する際は、高湿度な状況にならないよう環境に注意が必要です。
コンプレッサーオイル交換時の注意点
これまでコンプレッサーオイルを交換することの重要性などを説明してきました。ここでは交換時の注意点について説明します。
具体的な交換方法はご使用中のコンプレッサーの取扱説明書を確認し、適切な工具を用いて実施してください。
機械の冷却を確認してから作業する
コンプレッサーオイルが加熱している場合、火傷をする恐れがあるため、作業を行う前に機械が十分に冷却されていることを確認しましょう。
しかし、適度に温かいオイルは流動性が増し、排出が容易になるため、作業を始める前にコンプレッサーを少し稼働させオイルをある程度温めておくと作業効率が上がります。
このように、コンプレッサーとオイルの温度を適切に管理することで、安全かつ効率的に作業することが可能です。
防護メガネや作業用手袋を用意する
コンプレッサーオイルには化学物質も含まれていることもあるため、作業時には保護メガネや作業用手袋を必ず着用して、目や手を保護しましょう。
特に古いオイルを排出する際には、オイルが飛散する可能性があるため注意が必要です。
保護メガネはサイドシールドつき、作業用手袋は耐油性や耐薬品性を持つものが適しています。適切な保護具を使用し、作業環境を整えることで、作業中の事故や健康被害を防ぎましょう。
適切なオイルを選ぶ
コンプレッサーオイルを選ぶ際は、種類を間違えないように注意しましょう。
まずは、使用しているコンプレッサーの取扱説明書や仕様書を確認して、推奨されるオイルの種類を調べます。
多くの場合、メーカーが指定した純正品があるため、それに従って給油してください。指定されたオイルを使用することで、機器本来の仕様で運転することができます。
また、メーカー指定の専用オイルでない場合、製品保証が無効になる場合もあるため、原則メーカー指定のオイルを使用することがおすすめです。
まとめ
コンプレッサーオイルの交換時期やその重要性について紹介しました。オイル交換の目安は、一般的に1年に1〜2回とされていますが、使用環境や使用時間、オイルの種類によって変わってきます。
コンプレッサーオイルが役割を十分に発揮するよう交換時期を守ることが大切です。オイル交換の際には適切な保護具を使用するように心がけましょう。