コンプレッサーから水が出る理由は?水分発生の原因と対策法を解説!
工場の稼働において、エアーコンプレッサーの運転管理は大切な課題となっています。
工場のコンプレッサーは、工場内の動脈ともいえる存在です。コンプレッサーが供給を行う末端配管まで正常にエアーがきていないと、工場設備の運転が止まったり、故障したりする原因ともなります。
工場のコンプレッサーからの水分発生はどのような原因によるのでしょうか。トラブルシューティングに備え、水分発生に関する知識や対処法を身に付けておくことが大切です。
本記事では、コンプレッサーからの水分発生の原因から対策までを解説します。
目次
コンプレッサーから水が出る理由
コンプレッサーから水が出る理由は、どのようなものでしょうか。主に圧縮によるケースと、外部から冷却されることによるケースがあります。
圧縮によるケース
圧縮によるケースでは、コンプレッサーの作動による空気圧縮が原因です。
実は、コンプレッサー内部では、取り込んだエアーを圧縮する操作を随時繰り返しており、空気圧縮時には、断熱圧縮という物理現象が生じます。
この断熱圧縮により空気の温度は上昇しますが、空気中にもともと含まれていた水分が、空気温度の上昇で飽和することにより、水滴になる場合があるでしょう。
また空気を吸い込む際に水蒸気も吸い込んでいるので、もともと圧縮空気には水分も含まれており、これらの水分が、コンプレッサー内の大気中から吸い込んだちりなどと一緒に凝結して、ドレンとして出てきます。
外部から冷却されるケース
コンプレッサーの圧縮操作以外の要因でも、排水するケースがあります。コンプレッサー内で、温度上昇した空気は、その後、エアタンクや配管等で冷やされていきます。
つまりコンプレッサー以後の配管系での温度低下により、空気飽和温度が下がり、コンプレッサーエアー中の水分が出てきますが、この過程では、配管系の各所で結露しドレンとして排出される恐れがあるでしょう。
配管途中などの温度低下による水分の飽和によっても、ドレンが吐出されます。
コンプレッサーから水が出る場合の対策
コンプレッサーから水が出る場合の対策としては、定期的なドレン排出と、水分を除去する機器の活用が考えられます。
定期的なドレン放出
定期的なドレン放出はどのようにすべきでしょうか。コンプレッサーの定期点検時に実施することはもちろんですが、できれば毎日1回は、コンプレッサーの調子確認と合わせて実施します。
特に精密機械などの工場向けのコンプレッサーエアーの場合は、ドレンなどの汚れが、そのまま配管系に流出しないように注意しましょう。
塗装工場の場合は塗装ムラの原因や、各種エアー機器の故障原因となることがあります。
水分を除去する機器の活用
ドレン抜きにまさる効果のある対策は少ないですが、場合によって水分除去用の機器を使用を検討するのもよいです。
ドレン抜きに対応できるエアフィルター用のオートドレンなどの機器を使用し、コンプレッサーの出口に設置しましょう。
これらの機器を利用する場合も、手動でのドレン放出は欠かさないようにします。万が一の状況に備え、バッファレベルを検討した活用が大切です。
配管系にドレンや水分が残らないように、手動と併せて、これらの水分除去用の機器を使用するようにします。
コンプレッサーの水抜きをしないとどうなる?
コンプレッサーの水抜きをしないとどうなるのでしょうか。さまざまな悪影響が考えられ、コンプレッサー以外へも問題が波及することになります。
例えば食品工場や医薬品工場では、汚染した水分が、製品に対して致命的な影響を与える場合もあり注意が必要です。
エアブロー時に製品が汚れる
エアーブローの使用によって、食品や医薬品生産の現場においては、不良品が出るほどの汚れが付着するケースもあるでしょう。
機械・装置関連の製品でも、汚れが付着すれば、そもそも当該製品の出荷ができません。このように装置関連工場でも、品質管理に直結する重要な問題となりえます。
コンプレッサーの負担が増す
コンプレッサーの水抜きをしないことによりコンプレッサーの負担が増すことも、大きな支障となるでしょう。
コンプレッサー内のタンク容量が結果的に減ることから、エアー配管系に十分なエアーを供給するために、コンプレッサーは稼働頻度を増す必要があります。
このため、コンプレッサーは連続稼働を余儀なくされるので、当然、電気代がかさみ、さらにコンプレッサー自体の稼働寿命を縮めることになるでしょう。
エアータンクや配管内部が劣化する
エアータンクやエアー配管は金属製ですから、コンプレッサー以外にも、内部が錆びる可能性があります。
微量の水分でも長期間放置しておくと、錆が発生するだけではなく、腐食が進む可能性も否めません。
毎日のコンプレッサーの水抜きの有無が、結果的に大きな影響を与えることになります。
コンプレッサーの水分に関するよくある質問
コンプレッサーの水分に関して、よくある質問をまとめました。
末端エアーからドレンが出るのはなぜ?
末端エアーからドレンが出るのは、ドレン抜きが不十分なことが原因です。完全に放出されていないドレンが、エアー配管系に移行して、工場内の末端エアーの出口から出てしまいます。
このようになると、配管系の洗浄も必要となりますし、ドレン放出の適切な頻度を見直す必要もあるでしょう。
空圧配管内の水分発生は時期によって変わる?
空圧配管内の水分発生は、時期によって変わるのが通常です。コンプレッサー内で稼働時に圧縮された飽和空気から、水分は発生します。
そもそもコンプレッサーに供給される空気の湿度は、季節によって異なるのが当然です。特に梅雨の時期や蒸し暑い夏は、飽和空気からの凝縮された水分量はかなり多くなります。
梅雨の時期などは、毎日1回のドレン抜きだけではなく、配管系に水分除去装置を付けたり、場合によっては毎日数回ドレン放出をしたりする対策を講じる必要があるでしょう。
水分発生の対処法を身に付けよう
コンプレッサーからの水分発生の原因とその対処法について解説しました。トラブルシューティングに備え、水分発生に関する知識や対処法を身に付けておくことは非常に重要です。
コンプレッサー稼働時には、圧縮空気により断熱圧縮という物理現象が生じています。これらの現象をよく理解したうえで、コンプレッサーのメンテナンスを行うことが大切です。
特にドレン放出を怠っていると、工場内でのコンプレッサーエアーの品質が著しく落ち、ひいては製品出荷にまで影響してしまいます。
またドレンによりエアータンクの容量が減少して、コンプレッサーの連続稼働頻度が増加することで、電気代増加という脱炭素に全く反する経営を余儀なくされるでしょう。
さらにはコンプレッサー寿命が短くなり、コンプレッサーという工場に不可欠な装置の修理や交換へも大きく影響します。