圧縮エアと電力を徹底管理|超音波カメラとENIMASで取り組む粉体塗装の省エネ対策
粉体塗装工場では、品質を維持するために多くのエネルギーが使われています。
一方で、エネルギー価格の高騰やカーボンニュートラルへの対応が求められる中、
気づかないうちに発生している「ムダ」が経営を圧迫しているケースも少なくありません。
本記事では、粉体塗装工場で特に見落とされがちな
「圧縮エアのロス」と「電力使用のムダ」に着目し、
省エネ対策の考え方をご紹介します。
目次
粉体塗装ラインに欠かせない圧縮エア
粉体塗装工程において、圧縮エアは欠かせないエネルギー源です。
主に以下のような用途で使用されています。
- 塗装ガンおよび粉体供給
- 塗装ブースの清掃や色替え作業
- コンベア切替やエアシリンダーなどの駆動
品質・生産性・自動化を支える重要な役割を担う一方で、
圧縮エアは工場全体の電力消費の20〜30%を占めることもあり、
管理が不十分だと大きなコスト増につながります。
気づかないうちに発生するエア漏れ
多くの工場では、作られた圧縮エアの10〜30%が
エア漏れによって失われていると言われています。
粉体塗装工場で特に多いエア漏れ箇所は以下の通りです。
- 塗装ガンやホースの接続部
- 経年劣化したホースの裂けや穴
- 継手・カプラーの緩みやシール材の劣化
- 使用していない配管のバルブ
- 配管や機器の老朽化によるピンホール
一つひとつは小さな漏れでも、積み重なることで
コンプレッサーの無駄な稼働を招き、
電力コストを押し上げる原因となります。
超音波カメラによるエア漏れの見える化
従来のエア漏れ点検は、音を聞いたり発泡液を使ったりする方法が一般的でした。
しかし、騒音の大きい工場内や高所では、正確な特定が難しいという課題があります。
そこで有効なのが、工業用の超音波カメラによる検査です。
エア漏れが発する人には聞こえない超音波を捉え、
漏れの位置や大きさを画面上で可視化できます。
設備を止める必要がなく、安全かつ短時間で検査できる点も特長です。
数値化することで修繕の優先順位が明確に
エア漏れ検査では、漏れ箇所を特定するだけでなく、
推定リーク量や年間の損失額、CO₂排出量を数値として算出します。
工場全体を調査すると、100箇所以上の漏れが見つかることもあります。
すべてを一度に修繕するのは現実的ではないため、
損失額に基づいて優先順位を付けることが重要です。
数値で把握することで、限られた予算の中でも
投資対効果の高い対策を進めることが可能になります。
電力のムダは見えないからこそ発生する
粉体塗装工場では、以下の設備が特に電力を多く消費します。
- 焼付乾燥炉(硬化炉)
- コンプレッサー
- 空調・集塵装置
- 搬送用コンベア
問題になりやすいのは、
製品が流れていない状態での稼働や、
負荷が少ない時間帯の運転といった
「当たり前になっているムダ」です。
電力使用状況をリアルタイムで見える化
電力のムダを改善するには、
「いつ・どの設備が・どれだけ電力を使っているか」を
正確に把握することが欠かせません。
ポータブル型の電力計測機器を活用することで、
大掛かりな工事を行わずに、
設備ごとの電力使用状況をリアルタイムで確認できます。
感覚に頼らず、データに基づいて判断することで、
待機運転やピーク電力といった課題が明確になります。
見える化と対策を組み合わせた省エネ
エア漏れや電力の見える化は、それ自体が目的ではありません。
- 現状を把握する
- 対策を実施する
- 効果を再度測定する
このサイクルを継続的に回すことで、
確実なコスト削減と省エネにつながります。
実際に、エア漏れ対策と電力管理を組み合わせることで、
コンプレッサーの年間電力消費を約25%削減した事例もあります。
まとめ
エネルギー価格の上昇や脱炭素対応は、
今後も避けて通れない経営課題です。
しかし、設備更新だけが解決策ではありません。
まずは、自社の工場で「どこにムダがあるのか」を
正しく知ることが、省エネへの最も効果的な第一歩です。
定期的なエネルギー診断を通じて、
無理のない省エネと安定した工場運営を
実現していただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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