超音波カメラによるエア漏れ検査でコンプレッサーの消費電力を15%削減・年間163万円のコストカット
「工場の電気代が思うように下がらない」「コンプレッサーが常にフル稼働している気がする」。もし、このようなお悩みをお持ちでしたら、その原因は「エア漏れ」にあるかもしれません。工場で稼働するコンプレッサーは多くの電力を消費しますが、配管などから圧縮エアが漏れていると、気づかないうちに膨大なエネルギーとコストを浪費してしまいます。これは、まさに穴の空いたバケツで水を運んでいるような状態です。
本記事では、山口県にある窯業製品製造工場様が、弊社の「エア漏れ検査」を導入し、年間160万円以上の大幅なコスト削減と、コンプレッサーの消費電力15%削減という大きな成果を上げられた事例をご紹介します。見えないコストの正体を突き止め、省エネと経営改善を実現するプロセスをぜひご覧ください。
目次
お客様情報
- 業種:窯業製品製造工場
- 所在地:山口県
- 測定対象面積:約35,000m3
- 年間稼働時間:8,760時間
- 1時間あたりの電気使用料金:25円/kWh
検査結果
検査結果を説明します。
検査概要
- 検査所要日数:1日(8 時間)
- 漏れ箇所数:73箇所
- 漏れ量合計:706.3L/min
- 年間損失合計:1,638,034円
- 年間推定CO2排出量:29,682kg/年
24時間稼働の工場を悩ませる「見えない」エネルギー損失
今回の現場は、山口県で操業されている窯業製品製造工場様です 。年間8,760時間、つまり24時間365日体制で稼働しており、生産活動において圧縮エアは不可欠な動力源でした 。しかし、常時稼働しているからこそ、コンプレッサーの消費電力は経営上の大きな課題となっていました。
圧縮エアは、生産ラインの動力、製品の搬送、粉体の輸送など、工場のあらゆる場所で利用される重要なものです。業種にもよりますが、工場の電気使用料の約20%を占めるほど、コンプレッサーは電力を消費すると言われています。もし、コンプレッサーに「エア漏れ」が存在すれば、常に無駄なエアが発生し、コンプレッサーは無駄な稼働を強いられます。結果として、消費電力は高止まりし、企業の経営を圧迫するだけでなく、余分なCO2を排出し、環境にも負荷をかけてしまうのです。
特に、窯業製品製造業のように広大な敷地と複雑な配管を持つ工場では、無数のエア漏れリスクが潜んでいます。しかし、その多くは人の耳には聞こえない高周波の音であるため、騒音の多い工場内で人の感覚だけで特定するのは極めて困難です。
FLUKE社製・超音波カメラで漏れ箇所を「見える化」
そこで役に立つのが、超音波カメラを用いた「エア漏れ検査サービス」です。
当社ではFLUKE社の工業用超音波カメラを活用しています。この超音波カメラによるエア漏れ検査は、エアが漏れ出す際に発生する超音波(人間の耳には聞こえない周波数の音)を特殊なマイクで捉え、その発生源を映像としてリアルタイムにモニターへ映し出す技術です。
<超音波カメラのメリット>
- 騒音下でも正確に特定: 工場が稼働している騒がしい環境でも、周囲の雑音に影響されずにエア漏れの超音波だけを捉えることができます。
- 広範囲を迅速にスキャン: 離れた場所からでも広範囲をスキャンできるため、高所や危険な場所の配管も安全かつ効率的に検査できます。
- 生産を止めずに検査可能: 工場の稼働を止める必要がないため、生産計画への影響を最小限に抑えられます。
今回の検査は、約35,000㎥の広大な測定対象面積にもかかわらず、わずか1日(実働8時間)で完了しました 。これにより、お客様の業務への負担をかけることなく、問題の全体像を迅速に把握することができました。
写真:実際のエア漏れ検査画面
73箇所のエア漏れ、年間163万円の損失が発覚
検査の結果、工場全体で合計73箇所ものエア漏れが発見されました 。その漏れ量を合計すると、1分間あたり706.3リットルにも達していました 。
この数値を、お客様の稼働状況(年間8,760時間、電力料金25円/kWh)で換算すると、年間で163万円以上もの金額が、文字通り「空気中に消えていた」ことが分かりました。これは、企業の収益を直接的に圧迫するだけでなく、地球環境に対しても年間約30トンものCO2を余分に排出している計算になります。これらの数値は、お客様にとっても予想をはるかに超えるものであり、「見えないコスト」の深刻さを改めて認識される結果となりました。
写真:実際のエア漏れ検査画面
一部修繕だけでコンプレッサーの消費電力が15%ダウン
検査後、弊社から提出したレポートに基づき、お客様はまず自社で対応可能な箇所から修繕に着手されました。工場の一部エリアの検査後、自社対応できる箇所のみ修繕を実施したのです。その結果、なんと15%のコンプレッサーの消費電力を削減することができました。
これは、発見された73箇所のうち、一部分を修理しただけの成果です。それでも、コンプレッサーの消費電力が明確に15%も削減されたという事実は、エア漏れ対策がいかに費用対効果の高い投資であるかを示しています。自社で修繕した以外の漏れ箇所を修繕すれば、さらに大きなエネルギー削減とコスト削減が期待できることは間違いありません。
画像:実際のエア漏れ検査レポート
まとめ
工場のエア漏れ対策は、単なるコスト削減に留まらず、企業の脱炭素経営における重要な一手です。見過ごされがちなエネルギー損失をなくすことは、CO2排出量を着実に削減し、カーボンニュートラル達成に貢献します。収益改善と環境貢献を両立させるために、まずは専門家による診断で、自社のエネルギー効率を「見える化」しませんか。お気軽にご相談ください。
[協和機工のエア漏れ検査サービスはこちら] (https://www.kyowakiko.com/airleak/)
「工場の音が大きくて漏れがわからない」「できるだけ止めずに検査したい」とお考えの方は、ぜひ一度、協和機工のエア漏れ検査をご検討ください。見えないムダを確実に減らすお手伝いをいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
協和機工株式会社はYouTubeチャンネルを公開しています。
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