Column 技術・業界コラム
2026.09.30
監修:協和機工 菊本佑希(ファシリティーソリューショングループ:リーダー)
「エア漏れは直した。でも、電気代がどれだけ減ったのか説明できない」
省エネ活動を進める現場では、修繕が終わってから効果の確認に悩むことがあります。検査レポートには損失金額が書かれていても、それがそのまま翌月の電気料金から減るとは限りません。
大切なのは、漏れが止まったことと、コンプレッサーの電力使用量が減ったことを、それぞれ確認することです。今回は、エア漏れ修繕の成果を社内で説明するために、何を記録し、どう比べればよいかを紹介します。
エア漏れ検査で算出する損失額は、推定漏れ量や運転時間、電力単価などの条件を使った試算です。修繕の優先順位を決めるために役立ちますが、実際の削減額を保証する数字ではありません。
修繕後の電力使用量は、生産量や運転時間、圧力設定、コンプレッサーの制御方式にも左右されます。例えば、生産が増えた月には、エア漏れが減っていても電力使用量の合計が増えることがあります。
そこで、効果確認を次の2段階で進めます。
| 確認すること | 確認方法 | 分かること |
|---|---|---|
| 修繕箇所の漏れが止まったか | 同じ箇所を再検査し、記録と照合する | 修繕そのものの結果 |
| 電力使用量がどう変わったか | 条件を揃えて修繕前後を比較する | 設備運転を含めた省エネの成果 |
効果確認の準備は、できれば修繕前に始めます。修繕後だけ測定しても、以前と比べてどれだけ変わったかは判断できないためです。
最初に決めたいのは、測定する範囲です。同じ配管系統に複数のコンプレッサーがつながっている場合は、1台だけでなく、その系統を支える設備全体の使用量を確認します。運転の担当が別の機械に移ると、1台の数値だけでは全体の変化を見誤ることがあります。
電力データと一緒に、次の条件も記録してください。
まずは通常の生産日と非生産時間を含む、代表的な運転パターンを捉えます。「何日測れば十分か」は工場によって異なります。曜日や品種で運転が変わる場合は、その違いが分かる期間を確保しましょう。
すでに修繕が終わっている場合は、過去の計測データや運転記録を確認します。比較できるデータがなければ、削減率を無理に算出せず、今回の測定を次の改善の基準にします。
検査時に付けた管理番号と、修繕日・作業内容・再検査結果をひも付けます。「何箇所直したか」だけでなく、「どの箇所を確認済みか」が分かる状態にすることが重要です。
再検査は、対象箇所に通常使用時の圧力がかかっていることを確認して行います。設備が停止し、配管が無圧の状態では、使用時の漏れが解消したか判断できません。
協和機工のエア漏れ検査サービスでは、漏れ箇所の可視化と、漏れ量・損失金額などの数値化に対応しています。検査時の記録を修繕後の確認にも活用することで、未対応箇所や再発箇所を追いやすくなります。

月ごとの電気料金だけで成果を判断すると、生産量や料金単価の変化まで混ざってしまいます。まずは対象設備の電力量を、比較できる運転条件で見ていきます。
同じ品種・同程度の生産量・同じ運転時間の期間を選ぶと、変化を説明しやすくなります。条件が異なる場合は、電力量の合計に加えて「製品1個当たりの電力量」なども確認します。
ただし、生産量で割るだけで条件差をすべて補正できるわけではありません。品種が変わった場合や、固定的な待機運転の割合が大きい場合は、その影響も分けて考えます。
昼休みや夜間などの非生産時間も比較の手掛かりになります。ただし、清掃や自動運転、ドレン排出などでエアを使っている場合があります。電力使用が残っていることだけで「すべてエア漏れ」とは判断せず、動いている設備と突き合わせましょう。
条件を揃えて比較できたら、電力量の差と、そのときの条件をセットで報告します。以下は計算方法を示す架空の例であり、協和機工の施工実績ではありません。
同一品種・同程度の生産量、同じ稼働時間・圧力設定で、対象系統のコンプレッサー全体を比較できたと仮定します。
| 項目 | 修繕前 | 修繕後 |
|---|---|---|
| 比較期間 | 5稼働日 | 5稼働日 |
| 使用電力量 | 5,000 kWh | 4,500 kWh |
この期間の差は500 kWh、修繕前に対する減少率は10%です。
使用量に応じた電力単価を仮に25円/kWhとすると、電力量料金の削減相当額は、500 kWh × 25円/kWh = 12,500円となります。
これは比較した5稼働日分の試算です。基本料金を含む請求額全体が10%下がる意味ではなく、年間額に換算する場合も、同じ効果が続くと見込める稼働日数などの根拠が必要です。計測精度や運転条件の差を踏まえ、観測された変化のすべてをエア漏れ修繕の効果と断定しないことも大切です。
漏れが減っても、コンプレッサーが空気をつくらない状態で運転を続けていれば、電力の削減が小さくなることがあります。漏れの再確認と合わせ、無負荷運転の時間や運転台数、制御の状態を確認します。
米国エネルギー省も、漏れ修繕後には空気需要に合わせて供給側の運転・制御を見直すことを勧めています。圧力や制御の変更は、末端設備が必要とする条件を確認し、設備担当者や専門業者と進めます。[参考:米国エネルギー省『Minimize Compressed Air Leaks』]
協和機工が取り扱うENIMAS(エニマス)は、設備ごとの使用状況を継続的に把握し、修繕前後の傾向を比較するために活用できます。

なお、ENIMASは測定した電流と、あらかじめ設定した電圧・力率から電力量を推算する方式です。表示値を、電圧・力率の変動も測定した有効電力量と同じものとして扱わないことが重要です。
特に修繕前後で負荷状態が変わる場合や、小さな削減効果を詳しく評価する場合は、必要な精度に応じて電力計などによる測定を検討します。日常の変化の把握と、詳細な効果検証を、目的に合わせて組み合わせましょう。
社内への報告は、次の5点をまとめると伝わりやすくなります。
エア漏れ対策は、修繕と効果確認を組み合わせることで、次の改善に使える活動になります。
協和機工では、エア漏れ検査とENIMASを組み合わせた現状把握・効果確認のご相談を承っています。「これから修繕するので基準を残したい」「修繕後の成果を社内で説明したい」といった段階から、お気軽にご相談ください。
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