Column 技術・業界コラム
2026.10.04
監修:菊本佑希(協和機工 ファシリティーソリューショングループ リーダー)
工場で使う圧縮空気は、コンプレッサーが電気を使ってつくっています。配管や継手からエアが漏れていると、作業に使われない空気までコンプレッサーが補うことになり、電力を余分に使う原因になります。
この記事の要点
「エア漏れを止めると、なぜ省エネになるのか」。その理由を、図で順に見ていきましょう。

コンプレッサーは、電気を使って空気を圧縮し、工場の設備や工具へ送ります。圧縮空気を使う場所があれば、その分の空気をつくる必要があります。
ここで、配管の継手やホース、バルブなどに漏れがあるとどうなるでしょうか。生産設備で使う空気とは別に、漏れ口からも圧縮空気が流れ出します。つまり工場は、「必要な使用量」に「漏れによる無駄な使用量」を加えた空気を供給している状態です。
水をためるタンクに小さな穴が開いている様子を想像すると、分かりやすいかもしれません。使う分の水に加えて、穴から出ていく水も補い続ける必要があります。工場では、その水を補うポンプにあたるのがコンプレッサーです。
エア漏れがあると、圧縮空気の需要が増えます。コンプレッサーは工場で必要な圧力や空気量を保つため、運転時間が延びたり、負荷が高い状態になったりします。その結果、電力使用量が増える原因になります。
米国エネルギー省の資料では、エア漏れはコンプレッサー出力の20〜30%を無駄にしていることも多く、費用対効果のある目標として、漏れを全体流量の5〜10%程度に抑えることが一般的とされています。漏れは稼働中だけでなく、生産が止まっている時間帯にも続く点にも注意が必要です(参考:稼働中だけではない!待機中のエア漏れにも要注意)。
なお、漏れを直せば電力使用量が必ず同じ割合で下がる、という単純な関係ではありません。米国エネルギー省の資料でも、修繕後は減った需要に合わせてコンプレッサーの運転時間や制御を調整することが、省エネを実現するうえで大切とされています。効果は、コンプレッサーの制御方式、工場の稼働状況、圧力設定などによって変わります。
漏れを修繕すると、工場が必要とする圧縮空気の量を減らせます。コンプレッサーが供給する空気量や運転時間が下がれば、電力使用の削減につながります。
協和機工が検査を行った山口県の窯業製品製造工場では、検査で見つかった73箇所の漏れのうち、自社で対応できる箇所だけを修繕した段階で、コンプレッサーの消費電力が15%下がりました(事例を読む)。削減幅は工場ごとに異なりますが、漏れの修繕が電力削減に結びついた一例です。
また、漏れのために圧力を高く設定している場合は、設備ごとの必要圧力や配管状態を確認するきっかけにもなります。エア漏れの修繕を、圧縮空気システム全体を見直す第一歩として活用できます。
修繕効果を確認するときは、修繕の前後で生産量、稼働時間、コンプレッサーの設定などが大きく変わっていないかも見ておきましょう。確認の手順は「エア漏れを直した後、削減効果をどう確かめる?」で詳しく解説しています。
エア漏れの音が聞こえる場所だけを直しても、工場全体のムダを把握できるとは限りません。漏れの多くは人の耳には聞こえにくい超音波を発しており、高所や設備の裏側など、目や耳だけでは見つけにくい漏れもあります。また、漏れの数だけでは、どの箇所から修繕すればよいか決めにくいことがあります。

協和機工のエア漏れ検査サービスでは、FLUKE社の超音波カメラで漏れ箇所を可視化し、漏れ量や損失金額、CO₂排出量などをレポートにまとめます。数値をもとに修繕の優先順位を検討できるため、「どこから手を付けるか」を社内で説明する資料としても活用できます。
修繕後は、ENIMAS(エニマス)を使ってコンプレッサーなど設備ごとの電力使用の傾向を見える化することもできます。検査で漏れを把握し、修繕し、電力の変化を確かめることで、省エネ活動を次の改善につなげやすくなります。

A. 工場の漏れ量、コンプレッサーの台数・制御方式、稼働時間によって異なるため、一律には言えません。協和機工の検査事例では、一部の漏れを修繕しただけでコンプレッサーの消費電力が15%下がったケースがあります。まずは検査で漏れ量と損失金額を把握することをおすすめします。
A. 1箇所あたりは小さくても、工場全体では数十箇所の漏れが見つかることがあり、合計すると大きな損失になります。また、漏れは生産していない時間帯にも続くため、24時間稼働の工場や夜間もコンプレッサーを止めない工場では影響が大きくなります。
A. 超音波カメラを使う検査では、稼働中の工場でも周囲の騒音と区別して漏れを検知できます。協和機工のエア漏れ検査は、生産を止めずに実施できます。
A. 空気の需要が減っても、コンプレッサーが無負荷で運転を続けていたり、台数や制御が修繕前のままだったりすると、電力の削減が小さくなることがあります。漏れの再確認と合わせて、運転状態や制御の設定も確認しましょう。
エア漏れを止めることが省エネにつながるのは、コンプレッサーが電気を使ってつくった空気を、必要のない漏れに使わずに済むからです。まず漏れの場所と規模を把握し、修繕する箇所を決め、その後の電力使用も確認することが大切です。

「工場のエア漏れを調べたい」「漏れによる損失を数字で把握したい」「どこから修繕すべきか相談したい」という方は、お気軽にご相談ください。
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監修:協和機工 菊本佑希(ファシリティーソリューショングループ:リーダー)
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